HOME > みんなで学ぼう!> 農業体験学習 > 「見て触れて学んで」質問と回答 > にんにくの質問と回答
【生 産】
1.にんにくが、世界で始めて作られたのはいつごろですか。
→にんにくは、今から約6500年前の紀元前4500年の古代エジプトの頃から作られ
たと言われ、紀元前3000年のエジプト王朝時代に強壮食品として栽培され、紀元前
2000年頃にピラミット建築に従事した人々の賃金の半分をにんにくで支払ったこと
や奴隷の強壮用として重労働に耐えるために食べていたことが象形文字に描かれて
いるとか。クレオパトラもにんにくが好きだったという説もある。
原産地は、中央アジアのキルギス地方と言われ、香辛料として東西に広まったとされ
ている。中国には約2100年前、日本に入ってきたのは、朝鮮を経て約1600年前
頃の聖徳太子の時代の200年前頃だと言われている。
2.青森県でにんにくが作り始められたのはいつですか。
→日本ににんにくが入ってきたのは、質問・回答の1にあるように、今から約1600年
前で、その後全国各地に広まっていったと言われています。
江戸時代の書物に、「奥羽の津軽・南部地方には、2寸(約6cm)ほどの大きなにん
にくがあった」とされています。
また、昭和30年初頭に横浜市のある貿易商社が、アメリカにガーリックパウダーを
輸出しており、県内でも一時、平内町ほか2~3の町村で加工原料として契約栽培
されていたようです。
昭和34年秋から、県の農業試験場で大玉生産のためのにんにくの研究を開始され
ています。
3.10アール当たり何個取れますか。
→10アール(1,000㎡)当たり約15,000株から20,000株植えますが、病気のた
めになくなるものがありますので、約14,000個から19,000個取れます。
りん片(にんにくの種)が小さいときは多めに、大きいりん片では少なめに植えてい
ます。うね幅140cm、株間15cmの4条植えが普通行われている方法ですが、最近
は大きいにんにくを生産するために、株間を17~18cmに広げている人もいます。
4.青森県の中で一番にんにくを多く作っているところはどこですか。
→東北農政局青森統計情報事務所編集の平成11年園芸作物統計によると、県内
第1位が十和田市、第2位が天間林村、第3位が田子町となっています。
青森県は日本一のにんにくの産地ですので、青森県第1位ということは、日本の
中では全国第1位ということになります。
5.にんにくの作り方をかんたんに教えてください。
→(1)9月上旬に、にんにくの畑や種を準備します
種の大きさは、1りん片あたり、10gから15g位のものを使います。
畑には、堆肥や肥料などを散布します。
(2)9月中旬ににんにくの種の消毒やビニールでマルチングします。
消毒は、種についている病気の菌を殺すためのもので、マルチングはにんにく
を植えた場所を温かくしたり、土がかたくならないように、肥料などが逃げない
ようにして、にんにくの根が伸びやすくするためです。
(3)9月下旬から10月のはじめに、にんにくのりん片を植えます。
(4)雪がつもる12月には、5cmから10cm位ににんにくの茎や葉が伸びてきます。
(そのまま、冬を越します)
(5)翌年、雪が消えた4月頃から、にんにくの茎や葉が生長してきます。
4月中ごろから6月の収穫するまでに、病気にかかったり、虫の害を防ぐために、
農薬を散布して防除してます。
この期間に、にんにくの根元から、芽が2本や3本でることがあるので、1株を
1本にしてやります。そのままにしておくと、小さいにんにくになります。
雪が消えてからすぐの4月上旬と5月上旬の2回、肥料をやります。
(6)6月になると、にんにくの茎の先端から、抽台した「とう」が出るので、そのまま
残しておくと、球の肥大が悪くなるので、つみとります。
(7)6月下旬から7月にかけて、にんにくの大きさをみて、収穫します。
(早く掘り取りすると収量が少なくなり、遅く収穫すると割れ球が多くなります)
6.にんにくはいつ収穫するのですか。
→青森県で栽培されているにんにくで一番早く収穫するのは6月中旬頃ですが、
普通は6月下旬から7月のはじめにかけて行われます。
その年のにんにくの生長の程度を見て、いつにするのかを農家が決めています。
早く収穫すると小さいものばかり多く取れるし、遅くなりすぎるとにんにくの裂球と
いって、ヒビが入ったり割れてしまうものが多くなるので、商品としての価値が下が
り、値段が安くなってしまうので、いつ収穫するかを決めることは大事なことです。
香川県では、4月下旬頃ににんにくを収穫しています。
7.青森県以外にはどこの県でにんにくが作られていますか。
→青森県以外では、香川県、岩手県、秋田県、宮城県、北海道、福島県、山形県、
徳島県などで作られています。
平成11年度で、青森県全体で約1,500haの面積が作られていますが、全国
第2位の岩手県は122ha位で、香川県・秋田県はそれよりも少ない面積です。
8.青森県全体では何個のにんにくが取れますか。
→作られている面積が約1,500haで、10a当たり約16,000個植えるとすると、
2億4,000万個のにんにくが取れることになります。
9.青森県が日本一のにんにく産地となったのはいつからですか。
→農林水産省のやさい生産状況調査(マイナー作物は1年おき調査)によると、昭和
49年のにんにく作付面積が青森県575ha、北海道526ha、岩手県376haとなり、
青森県が全国一になっており、その後、にんにく価格の乱高下により作付面積の
増減があるものの、青森県のにんにくは全国一を続けています。
10.青森県内では、どこで、どの位のにんにくが作られていますか。
→東北農政局青森統計情報事務所編集の平成11年園芸作物統計によると、青森
県内全体の面積1,520haのうち、十和田市が255ha(県内の約17%)、天間林
村188ha(約12%)、田子町142ha(約9%)、新郷村107ha(約7%)、倉石村
98ha(約6%)、六戸町92ha(約6%)、常盤村73ha(約5%)などとなっています。
上北地域全体で858ha、三戸地域で506haの面積があり、上北地域が県全体の
約60%、上北地域と三戸地域(あわせて県南地域)では、県内全体の約90%の
栽培面積で、にんにくの産地イコール県南地域と呼ばれています。
11.にんにくが多くとれた年と少ない年では、どの位の差がありますか。
→にんにくは、収穫すると生のものをすぐに乾燥させます。乾燥させないでおくと、
皮の間にカビが発生したり、途中で腐ったりして、さらには白いにんにくができない
ことになります。
生のにんにくを乾燥させると、約35%から40%が減量します。
乾燥したにんにくで比べてみると、10a当たりの平均販売重量では、多い年は
約650kg、少ない年では約400kgとなっています。
生にんにくの重量では、多い年で1,000kgを超え、少ない年では650kg位の
平均となっています。
また、農家によって、多く取っている人とそうでない人では大きく差があります。
12.にんにくを栽培する中で、どんな病気や害虫がありますか。
→葉枯病、黒腐菌核病、さび病、紅色根腐病、春腐病、黄斑病などの病気のほかに、
イモグサレセンチュウやネギコガなどの虫によるものがある。
病気によるものは、にんにくの球が大きくなるために必要な葉や茎を枯らしたりする
ものが多いのに対して、害虫は、にんにくの球を食べて被害を出すものが多い。
紅色根腐病は、6月になって葉が枯れあがり、株を抜いてみると根が紅色になって腐
ってしまう病気で、ネギコガは、茎の中に幼虫がもぐって茎を食べることで被害となる。
【一般的に、病気の名前は、漢字やひらがなを使って書き、害虫は、カタカナで
書くことが多い。病気のモザイク病はカタカナで書く。】
13.にんにく作りに一番適しているのはどんな土ですか。
→水持ちが良く、排水の良く、根が深くまで伸びていくことができ、堆肥などがたくさん
入っている土が適しています。
にんにくは、5月から6月下旬の収穫するまで大きくなりますので、この時期に水分
をにんにくにあげることができる場所が栽培する時に良い場所とされています。
14.にんにくは、どのようにして貯蔵(保管)しているのですか。
→一般的には、収穫して乾燥した物を、風の当たらない、温度変化の少ない納屋など
に紙袋などに入れて保管します。
また、長期間販売するために、管内作付面積の多いJA等では、冷蔵庫やCA貯蔵庫
という低温貯蔵庫に入れています。
【品 種】
15.にんにくと同じ仲間にはどんなものがありますか。
→にんにくは、ユリ科ネギ属のやさいである。
ラテン語名ではアリアム・サテビウム、英語名ではガーリックといわれ、ガーリックの
ガーはゲルマン語の槍(やり)、リックは薬用植物の意味らしい。
同じ仲間には、たまねぎ、シャロット、ネギ、ワケギ、アサツキ、ニラ等があります。
たまねぎ・ネギ・ラッキョウなどの葉は丸く、中空であるのに対して、にんにくは、
ニラと同じようにへん平です。
16.にんにくの品種はどのようなものがありますか。
→にんにくは、開花・結実せず、主に栄養繁殖によって増えるので、品種改良が
あまり盛んに行われていません。
主な品種は、12個~13個のりん片が輪状に着生する在来種と、6個のりん片
が2層に着生する6片種の二つがあります。
九州を中心とする西南地方は在来種(壱岐早生)の改良系、東北を中心とする
東・北日本は6片種と6片種系のホワイト系が主に栽培されています。
香川県・和歌山県などでは、中国の嘉定種といわれる上海早生などを種として
利用しています。
【悩み・工夫】
17.にんにくを作ってむずかしいことは何ですか。
→(1)価格の高い大きな玉(球)のにんにくが、毎年安定して取れない。
(2)乾燥が良くできないと、カビや変色が発生し、白いにんにくにならない。
(3)天候などによって、病害虫の発生が多く、防除に苦労する。
18.にんにくを作っていて工夫している点はどこですか。
→(1)大きな玉(球)のにんにくを作るために、植付本数を多くしたり、少なくしたり、
また、マルチの色を変えている。
(2)良い種を毎年、計画的に買って、病気(ウイルス)をなくしている。
19.にんにく作りのなやみは何ですか。
→(1)大玉を生産するには、病気(ウィルス病)にかかっていない種を確保すること。
(2)土作りが基本となるが、連作をすることにより、病害虫が年々多くなってきている。
(3)大玉を作っても、乾燥が良くないと良い品質のものができない。
(4)収穫時期が限られていることから、一時期に労力がかかること。
(5)出荷に当たって、1枚1枚ていねいに皮むきすることと、尻をみがくことに労力
がかかること。
(6)輸入にんにくが増えて、年々、価格が下がってきていること。
(7)植付けを手で行うことから、労力がかかること。
【販 売】
20.にんにくはいつ出荷するのですか。
→青森県のにんにくは、一番早く出荷するのは6月中旬頃ですが、これは生にん
にくのままや、少しだけ乾かして出荷するものです。
大部分のにんにくは、ビニールハウスや小屋の中で、ストーブをたいて部屋を
温かくして、にんにくを3週間から1か月以上かけて乾燥させてから出荷します。
乾燥させたにんにくは、8月上旬頃から翌年の6月上旬頃まで、約1年を通して
計画しながら出荷します。
一度に、多くのにんにくを出荷すると、にんにくの値段が下がってしまうので、
1年をとおして平均的に出荷するようにしています。
12月から6月までの間に出荷するものは、CA貯蔵庫という酸素をコントロール
(調整)した部屋に入れたり、販売するものは良いものだけを選んだりしています。
21.にんにくの送り先はどこですか。
→県内はもちろん、東京・名古屋・大阪・九州など全国各地に出荷されています。
22.値段の高いにんにくはどのようなものですか。
→にんにくの本来の形で(形が丸く、色が白く、割れていない)、大きなにんにくの
値段が高いです。にんにくの直径が7cm以上のものを2Lという階級にしています
が、A品の2Lが一番値段が高くなります。
青森県のにんにくは、1個のにんにくのりん片が4個から6個ですが、中国や香川
県のものは10個位のりん片があることから、1片当たりでは青森のものが大きく
なります。
同じ大きさのにんにくであっても、1片のにんにくが大きいことが青森の特徴で、
全国の市場やスーパー・小売店・消費者から好まれています。
23.一番売れる時期はいつですか。
→季節性はなく、1年中販売されています。
24.市場(地域)によって、にんにくの価格に差がありますか。
→地元がにんにくの生産地であることから、収穫直後に地元市場に集中して出荷
となることから安値となったり、高い価格はでません。
東京などの大消費地の方が、価格が安定しています。
25.スーパーや小売店では、どのような形で売られていますか。
→青森県のにんにくは、1個売りされているのに対して、中国のものは値段が安い
ことから3個か4個を袋に入れて売られていることが多い。
平成12年11月現在のスーパーで売られている価格は、青森県産は1個298円
(L級)、中国産は3個か4個の袋で100円位です。
26.にんにくを市場に出荷する場合の形はどのようになっていますか。
→大都市の中央市場などに出荷する時は、1kg入りのネット(白いもの)を使い、
外側ににんにくの尻が来るようにして入れ、10個のネットをダンボール1箱に
入れて出荷しています。
大きさによって、1ネット当たりに入っている個数が違います。
27.にんにくは、どのような規格で出荷していますか。
→等級はA品・B品・C品で、階級は2L級・L級・M級・S級と区別しています。
A品は品種の特徴をしていて色が白く、乾燥していて、球割れのないもので、
B品・C品になるにしたがって、割れたり、はがれたりしていったものになります。
2L・L・M・Sなどは、にんにくの大きさを区別するもので、2L級は球の直径が
7cm以上のもの、L級は6cm以上、M級は5cm以上、S級は4cm以上のもの
となります。
1kg入りのネットを10個を入れて、10kgとして、ダンボールにいれて全国の
市場に出荷しています。
【輸入・輸出】
28.青森県のにんにくは外国に輸出されていますか。
→輸出していません。
日本のにんにくの値段は、中国などのものに比べて品質が良いことから、高い
ものとなっており、日本に比べて物価が安かったり、安いにんにくが大量に
出回っている国では、品質が良くても値段が出ないので、赤字となることから
輸出していません。
29.どこの国からにんにくが輸入されていますか。
→年間約25,000トンが輸入されていて、そのほとんど(99%)が中国のもの
です。平成5年以前は10,000トンを下回る輸入量であったものが、平成5年
には16,000トンとなり、日本国内のにんにくの価格が暴落しました。
平成8年以降は、年間25,000トン前後の輸入量となっています。
世界のにんにく生産高は、1999年の国連の統計によると約900万トン。
うち中国が599万トン(約70%)、韓国48万トン、インド45万トン、アメリカ
22万トン、スペイン17万トン、ロシア16万トン、日本4万トンの生産との統計。
【栄養・色】
30.にんにくには、どんな栄養分がふくまれていますか。
→日本食品標準成分表によると、にんにくの中には約60%の水分、炭水化物
29.6%、蛋白質8.4%、食物繊維8.4%などとなっています。
にんにくに含まれる成分の特徴は、アミノ酸の一種のアルギニンが多く含まれて
いることと、有機イオウ化合物があることと言われています。
31.にんにくの色は、もともと白いのですか。
→にんにくは、もともと今のように白かったのではなく、赤みかがったり、桃色(ピンク)
だったりしたものが、白いものだけを残して種としたために、白くなったものです。
昔は、ピンクのものや赤みかがったものは、白いものに比べて3分の1や4分の1
の値段しかしなかったので、自然と作られないようになりました。
32.にんにくの臭いの成分は何ですか。
→にんにくに含まれる成分アリインは、においがしないが、きざんだり、すりおろしたり
すると組織がこわれ、にんにく内のアリナーゼ(アリイナーゼともいう)という酵素の
働きによって、強いにおいを発生させるアリシンに変わることによって、にんにく独特
のにおいになります。
33.にんにくの名前の由来(語源)は?
→仏教の「忍辱」が語源。
「あらゆる困難に耐え忍ぶ」という意味で、忍辱の境地をめざして修行する僧侶たち
が荒行に耐える体力を作るために食べたとされています。
34.にんにくのにおいを消す方法は、どうするのですか。
→加熱や塩分などにつけるとにおいを消すことができます。加熱すると、生のにんにく
の40分の1に、さらに長時間煮ると200分の1になると言われています。
35.にんにくのにおいをやわらげる方法はどうするのですか。
→にんにくのにおいが気になる時は、旬のやさいや果物と一緒に食べると効果が
あると言われています。
旬のものには、多くのカルシウム、マグネシウム、カリウムや鉄などが含まれて
いるので、それらがにおいの原因のアリシンを包みこむので、においを減らしたり、
やわらげたりします。旬のものがないときには、繊維の多いやさいや果物が効果
的で、たとえば、いも類・ごぼう・にんじん・だいこんなど。
食後の緑茶・紅茶・コーヒー・牛乳などもにおいをやわらげるために有効です。
36.にんにくは何に効くの?
→にんにくには、サチバミン複合体といわれる有効成分があり、細胞を若返らせる
こと、血液の循環を良くして、体力を増強・肝機能の回復促進作用・精力増強・
増血作用・ビタミンの体内留保などの効果があるといわれています。
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