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農業体験学習

「見て触れて学んで」りんごの質問と回答

【生産】
1.青森県でりんごが作り始めたのはいつですか。
 →明治8年の春(今から124年前)に内務省勧業寮から青森県庁に3本のりんごの
  苗木が送られたのが、りんご作りの始まりでした。
  同じ年に、アメリカ人宣教師ジョン・イングという人が本物のりんごを青森県にした
  とされています。
  明治8年の秋や9年の春にもりんご苗木500~600本が導入され、篤農家で試
  験栽培されました。
  その後、青森県庁に送られた苗木に5年後にりんごが成り、面積がどんどん拡大
  していきました。

2.りんごを作っている写真がほしい。
 →りんごの下敷をごらんいただければ、 おわかりになることと思いますが、くわしく
  は青森県が発行している「平成11年度青森りんご」 の資料の15~16ページに
  枝切り・袋かけ・人工授粉・玉まわし・収穫の写真がのっていますので、 ごらんく
  ださい。

3.りんごの生産量(生産額)は、増えているのですか。
 →青森県のりんご生産量は、その年によって多少違いがありますが、約50万トン
  です。 日本全体のりんご生産量は約100万tですので、青森県が50%を占めて
  います。
  平成3年の台風があった年には落果したりんごが多かったため27万tでしたが、
  生産量はよこばいとなっています。
  平成10年産の青森県の生産量は477,300トンで、10kgの段ボールで考えて
  みると4,773万箱となり、1箱ずつ積み重ねると9,546kmで、富士山の
  約2,500倍の高さになります。
  青森県のりんごの生産額は、約700億円位で、よこばいとなっています。

4.何種類のりんごがありますか。
 →世界では約15,000の品種、日本では約2,000の品種、青森県りんご試験場では、
  約300の品種、県内で栽培されているのは約70品種、そのうち市場に出荷されて
  いるものは約60品種と言われています。
  青森県で栽培されている主な品種を下記にあげました。
  青森県で栽培されている平成10年産りんごの品種と割合は、ふじ(45.8%)・王林
  (12.3%)・つがる(11.9%)・ジョナゴールド(10.5%)・陸奥(4.7%)・北斗(4.2%)・デリシャス
  系(ゴールデンデリシャス・スターキングデリシャス)(1.5%)・紅玉(1.5%)となってます。
  ほかには、夏緑・祝・北の幸・世界一・メロー・金星・国光・さんさ・陽光・新世界・
  高嶺・ハックナイン・ミキライフ・安祈世などがあります。

5.1本の木に何個くらいのりんごができるのですか。
 →りんごの木は、10a当たり(1,000㎡=縦100m×横10m、いろいろなパターンが
  ある)では、大きい木で18~20本、わい化栽培と呼ばれる(小さい)木の場合は
  90~330本位(普通125本位)が植えられています。
  大きい木(喬木)は、普通10a当たりで2,000kg~4,000kgですので、1本の木で
  100kg~200kgとなり、300個~600個位が成ります。
  わい化栽培の125本植えで、3,000kg(生産目標は4,000kg)を取れるとすると、
  1本当たり24kgですので、80個位の計算となります。 木によっては40~50個の
  こともあります。

6. 青森県には、何本ぐらいのりんごの木があるのですか。
 →青森県のりんごの面積は約24,100haで、わい化栽培が14%の約3,400haですの
  で、ふつうの木を10a当たり20本(1haでは200本)、わい化栽培を125本(1haでは
  1,250本)として計算すると200本×20,700ha=4,140,000本と1,250本×3,400ha
  =4,250,000本の合計の8,390,000本となりますので、約839万本位があることに
  なります。

7.何年くらい育てると、食べられるりんごができるのですか。
 →りんごは、わい化栽培で4年目位から、大きい木の栽培では7年位から成り始
  めます。

8.青森でたくさんりんごを作っている理由は何ですか。
 →青森県がりんごをたくさん作るようになったのは、(1)りんごの生育が青森県の
  気候・風土に合っていること。(2)青森りんごがおいしいこと。(3)りんごが他の作
  物に比べて収入が多かったこと。(4)りんごに限らず、農作物を作るとたくさんの
  病気や虫がついて良いものがとれなくなりますが、その防除を農家が一生懸命
  したこと。(5)試験場や県や篤農家が良いりんごを作るために、病害虫防除のし
  かたや栽培のしかた・品種改良に努力したこと。(6)おいしいりんごを全国の消
  費者に食べてもらいたいとの気持ちから、台風やひょうなどで被害を受けた場
  合でも負けないでがんばったこと。
  などによるものです。

9.りんごをうまく作る工夫はどのようなことですか。
 →りんご作りで工夫していることは(1)せんてい、(2)実すぐり、(3)人工授粉などです。
 (1)「せんてい」とは、漢字では「剪定」と書きます。
  りんごの枝を切ることです。
  青森県においては、りんごの品種により多少違いはありますが、4月中旬にりん
  ごの枝から芽が出ます。その芽が葉や花になります。
  5月中旬頃に花が咲きます。白または薄いピンクの色です。
  そして、実が結び、りんごになります。
  春から秋までにりんごの枝は1m位伸びます。
  (秋から春までは葉が落ちてしまい、寒いので枝は伸びません)
  若い元気な枝は2m位伸びます。
  秋にりんごを収穫して、翌年そのままでりんごを作ると良いりんごは取れません。
  おいしいりんごを作るには、長く伸びた枝やいらなくなった枝を切って、 りんごに
  太陽がいっぱい当たり元気になるように、病気にかからないように、枝を切るこ
  とが大切です。
  この「せんてい」の仕方は、品種によって、場所によって、りんごの樹齢(年令)に
  よって違ってきますので、大変むずかしい作業です。
 (2)実すぐりとは、りんごの実を全部成らせないで、良いものだけを残すことです。
  りんごの花が咲いて、実になったものを全部成らせると、小さなりんごしか取れ
  ません。
  大きなりんごを作るためには、1本の木に成らせる数を少なくしてやることが必
  要です。
  その作業を「実すぐり作業」又は「摘果作業」といいます。
 (3)人工授粉とは、人の手で花粉をりんごの花につけてやることです。
  りんごは、風やミツバチで授粉もしますが、100%確実でないことから人工授粉
  をしています。
  このほかに、おいしいりんごを作るために、肥料の入れ方を工夫したり、強い風
  がきた時りんごが落ちないように、防風ネットを張ったりして工夫しています。

10.種類によって、育て方もちがうのですか。
 →りんごの品種によって、枝の伸び方がちがいます。 大きな木とわい化栽培では、
  木のかっこうがちがうように枝の切り方がちがいます。
  品種によって、病気のでやすいものがあることから、薬剤散布もちがってきます。

11.りんごの作っている人たちは何人ですか。
 →りんごを作っている人の人数だと思いますので、おこたえします。
  平成7年の調査によると、栽培農家数が約23,000戸となっていますので、1農家
  あたり2~3名ですので、約55,000人となります。

12.りんごに関係して働いている人は何人位ですか。
 →たいへんむずかしい質問です。
  りんごを作っている人のほかに、りんごを運ぶトラックの運転手やダンボールを
  つくっている人、りんごの袋やはさみ・はしごをつくっている人、りんごを選別・
  箱につめる人、計画的に出荷するための仕事をしている農協の人などを含める
  と、青森県全体では約15万人位ではないかと予想 (推定)されます。
  1年間の青森県のりんごの販売額は約1,000億円で、りんご生産者だけでなく、
  地域の商店の人や飲食店などの生活にも影響しています。

13.りんごに袋をかけるのはなぜですか。
 →袋をかけるのは、りんごの色を良くするためと病気や虫を防ぐためです。
  袋をかけることによって、りんごの色が赤くあざやかになるのに対して、袋をかけ
  ない場合は、黒っぽい赤色になります。
  袋をかけるのを有袋栽培というのにたいして、かけないものを無袋栽培といいます。
  無袋栽培のりんごのほうが、糖度が高くおいしいりんごができますが、色が黒っ
  ぽい赤のために値段が多少安いです。おいしいりんごが必ず値段が高いわけで
  はないです。
  どちらをえらぶかについては、袋代や袋をかける手間・品種をなどを考えて、生産
  者が決めます。

14. りんごの中に、蜜が入るのはなぜですか。
 →りんごは、りんごの葉っぱで太陽をたくさんうけて、ソルビトールと言う栄養が作ら
  れ、そのソルビトールがりんごの中で、果糖やしょ糖・ぶどう糖になりますが、秋に
  なって気温が低くなると、ソルビトールがしょ糖などに変わる速度が遅くなり、細胞
  と細胞の間のすきまに、ソルビトールがたまるようになります。
  これが、蜜がたまったようにみえます。ソルビトールそのものは甘味が強いわけで
  はないのですが、蜜入りは熟度が進んだりんごでないとでてこないことから、おい
  しいとかんじるのかもしれません。

15.りんごに肥料はいつやるのですか。
 →雪がとけて、りんご園の土が姿をあらわす4月中ごろまでに、最初の肥料をまき
  ます。このあと、6月の終わりまでに数回に分けて、肥料をまきます。
  りんご園は、りんごの木の回りは耕して、それ以外のところは牧草草生することを
  進めています。
  春から秋にかけて、おいしげった草を刈り取って、りんごの木の回りに敷いてやる
  と大量の有機物の供給になり、それがりんごの栄養になります。

16.りんごの授粉はどういう方法がありますか。
 →授粉は、マメコバチによる方法と人手による方法があります。
  マメコバチによる方法は、マメコバチがりんごの花から花粉を集めて巣に運ぶ
  習性を利用して、マメコバチにりんごの授粉をさせるものです。
  マメコバチの巣箱やアシを準備したりして、5月上旬頃にりんごの開花のころに
  マメコバチが飛ぶようにします。
  最初は、ハチを販売している農家から買ったり、飼育している農家から分けてもら
  ったり、飼育している園地に空の巣筒を1年間おいたりして、ハチを手に入れます。
  人手による方法は、その年の花粉や貯蔵しておいた花粉を用いて、綿棒などで
  りんごの花に授粉する方法で、マメコバチの出る前(昭和60年位)までは、りんご
  の花が咲くころには中学生や自衛隊が授粉作業をしたものです。
  青森県の調査によると、りんご全体の90%位が授粉作業をして、その内の95%
  がハチを使用(蜜蜂5%、マメコバチ95%)し、残り5%が人手授粉となっています。
  蜜蜂よりもマメコバチを使用する理由は、蜜蜂は花粉を集めるとき、静止飛行しな
  がら花粉を集め、蜜を吸う時も花びらに止まって吸うので、めしべの柱頭に接触し
  くいのに対して、マメコバチは花粉を集める時、めしべの柱頭にほぼ100%接触し、
  体により多くの花粉をつけるため、花から花へ移動していく際に、花粉がよくいきわ
  たり、結実しやすいためです。長野県の調査では、良い果実を結実させる能力は、
  蜜蜂の82倍との結果もあるようです。
  トマトに使われるマルハナバチは、値段が高く(マメコバチ1匹3~5円、マルハナ
  バチ1匹50円)、冬を越すことができないのと、結実させるのに必要な花粉を食べ、
  活動するときに比較的高温を好む面から、りんごに使用することは不可能です。
  ただし、年によってりんごの花の咲く時期に寒かったりすると、マメコバチの活動が
  弱く(活発でない)なることから、授粉がうまくいかなかったりすることがあります。

17.りんごには、大きい木と小さい木がありますが、どこが違うのですか。
 →大きい木と小さい木には、いろんな品種、たとえばふじ・陸奥・ジョナゴールド・
  王林・世界一・千秋などが成ります。
  大きい木は、10アール当たり18本から20本植えていて、小さい木はだいたい
  100本から120本植えています。
  これは、品種の下の台木のちがいによるもので、りんごの全部の品種は台木に
  接いで栽培しています。
  台木を使用する目的は、栽培品種に接ぐと、りんごの木に栽培品種にはない土壌
  適応性や病気に強くなったりする性質があるからです。
  小さい木の特徴は、大きい木に比べて、根から吸った栄養を上に運ばない性質
  がある台木の性質によるものです。このような台木をわい性台木、その栽培法を
  わい化栽培といいます。
  大きい木の台木は、日本にりんごが導入された明治時代はミツバカイドウという
  台木でしたが、マルバカイドウの方が、土壌適応性が広く、りんごを成らせたとき
  の玉のそろいが良く、増殖しやすいなどの長所が多かったため普及しました。
  青森県では、わい性台木を使用したわい化栽培が15%、マルバカイドウの台木
  を使用した普通栽培が85%となっています。
  青森県では、りんごの木が低く、作業のしやすいわい化栽培を進めていますが、
  雪が多かったり、台木の寿命が短かったり、栽培のしかたが難しかったりなどの
  ために、長野県などに比べて、わい化栽培はあまり普及していません。

18.りんごの授粉をする場合、使ってはだめな品種やあわない品種がありますか。
 →りんごの品種は、めしべ・おしべ(花粉)とも同じ品種では授粉することができま
  せん。花粉(おしべ)として使えない品種は、ジョナゴールド・北斗・陸奥などがあ
  げられます。
  そのほかにも、今までの試験で、おしべとして使うと、ある特定のめしべに対して
  結実率が落ちる品種もあります。

19.りんごの頭と尻は、どうなっていますか。
 →一般的にいわれているりんごの尻と頭は逆です。

20.りんごは農薬をかけないと病気や虫にやられてしまうと聞きましたが、本当ですか。
  かけた農薬は人間の体に害がないのですか。
 →りんごに全然農薬をかけないでりんごを作ると、ほとんど良いものが取れません。
  農薬をかけると人間の体に悪いのではないかと思われる人もいると思いますが、
  まったく害がありません。

【色】
21.りんごの色は、何色ぐらいありますか。
 →りんごの色は大きく分けると、赤色と黄色の2種類に分けることができます。
  ただし、ふじの赤色でも分かるように、全部が同じ色ではないことが分かりますので、
  「何種類の色です」と、はっきりいえません。
  黄色の品種は、王林・ゴールデンデリシャス・金星・王鈴・メロー・アキタゴールドなど
  があります。
  陸奥は、本来黄色の品種でありますが、市場で販売しているものは赤く着色させた
  有袋栽培(袋をかけた)によるものです。
  黄色のりんごは、着色するための手間がはぶけるものの、りんご全体に占める割合
  は20%以下が良いと言われている。
  黄色の品種以外が、赤色品種です。
  赤色品種の中で、ジョナゴールド・さんさ・紅玉は十分な日照が必要な品種で、ふじ
  ・つがる・北斗・ハックナインは、着色しにくい品種にわけることができます。

22.赤い色が多いのは、なぜですか。
 →りんごの果皮細胞に、アントシアニンという成分が集まることによって、赤く見えます。
  赤色りんごと黄色りんごでは、赤いりんごのほうが売れ行きが良いことから、作って
  いる量を多くしています。
  蛇足ですが、にんじんの黄色は、カロチンという成分です。

【見分け方・樹の寿命】
23.おいしいりんごの見分け方は?
 →おいしいかどうかのりんごの見分け方は、(1)「つる」を見ることです。つるがしぼんで
  いると日数がたっていておしいくありません。 (2)りんごをたたいてみて、「ポンポン」
  と音のするのがおいしいです。 (3)りんごの尻(正確には先端)の部分の色が、緑色
  がかっているものは地色が抜けていないのでおいしくありません。
  黄色のりんごは黄色っぽくなるとおいしいです。

24.りんごの木は、何年くらい生きていられるのですか。
 →日本一の古いりんごの木は西津軽郡柏村にあります。明治11年に植えられて
  約120年位になります。 幹のまわりが3m以上があり、現在800kg位のりんごが生
  産されています。
  普通のりんごの木は、40~50年位です。それ以上生きていられますが、りんごの
  生産量が少なくなり、経費がかかるわりには収入が得られないことから、古い木
  を切って、新しい木を植えます。

25. 一番 おいしく食べられるのは、いつごろですか。
 →りんごの品種によって、早生・中生・晩生の3種類に分けることができます。
  品種によって、収穫時期が決まっていますので、その時期に食べるのが一番
  おいしいです。
  一般的には、りんごの木にならせておいて、熟して、落果する直前がもっとも
  おいしいことになります。あまり熟してしまって地面に落果してしまったものは、
  売り物にならなく、売ったとしても価格が安いので、農家の人は、少し早めに
  収穫しています。

26. 青森りんごがおいしいと言われているのは、なぜですか。他の県のりんごと味が
  ちがうのですか。
 →りんごは、木になっているときに、昼は太陽の光を受けて栄養を作り、夜は呼吸
  して昼作った栄養を消費しています。夜の温度が高いと呼吸が多くなり栄養を多
  く使います。青森県は南の県に比べて昼と夜の温度の差が大きいことから、おい
  しいりんごができるわけです。
  長野県や山形県などと比べると、りんごのかたさがあることや日もちが長くします。
  ただし、長野県や山形県は暖かいことから、青森県よりも早く(10日から20日位)
  りんごができますので、食べごろに食べることが必要です。

【品種】
27. どうやって、ちがう味のりんご(新種)を作るのですか。
 →りんごの品種を作る時は、交雑育種といって、父親(おしべ)と母親(めしべ)の品種
  を決めて、かけあわせてりんごのなるのを待ちます。
  新しい品種をつくるためには、かけあわせから始めて20年以上の年月が必要です。
  最近は、バイオテクノロジーなどを利用して期間を短くするための研究がされてい
  ますが、10年以下とはなっておりません。
  ちなみに、ふじと言う品種は「国光×デリシャス」で、前に書くのが母親(めしべ)で、
  後に書くのが父親(おしべ)と書く順番が決められています。
  この場合、「国光×デリシャス」がすべてふじとなるのではなく、たくさんある同じよ
  うなかけあわせの中から、「ふじ」が生まれたわけであり、 かけあわせた種からは
  同じような品種は、生まれません。

28. りんごの名前は、誰がつけるのですか。 また、 どうやって決めるのですか。
 →りんごの名前は、その品種を最初に作った人が自分で好きな名前をつけることが
  できます。
  ちがうりんごに、同じような名前がつくことのないように、今は名前の登録をする
  制度ができています。 最初に登録した人の権利を守るためのものでもあります。
  青森県のりんご試験場や国の試験場で作った品種については、その県や国で
  名前を決定します。

29.青森県ではどんな種類のりんごを作っているのですか。
 →青森県で作っているりんごの種類は、ふじ・王林・つがる・ジョナゴールド・陸奥
   ・北斗・千秋・紅玉などがあります。

30.何種類のりんごがありますか。
 →ナンバー4と同じです。

31.りんごの一番おいしいのは、何の種類ですか。
 →「一番おいしいりんごはなんの種類か」については、ひとことでは言えません。
  それは、 食べる時期によってちがうこと。 食べる人によってちがうからです。
  大きいりんごが好きな人、 すっぱいりんごが好きな人、 あまいりんごが好きな人、
  かたいりんごが好きな人、 やわらかいりんごが好きな人、赤いりんごが好きな人、
  黄色のりんごが好きな人などがあるからです。
  りんごは、青森県では8月から11月にかけてそれぞれの品種が収穫できます。
  例えば、「ふじ」という品種は、11月上旬に収穫することができます。
  9月に「ふじ」を食べたいと思っても食べることができません。
  りんごの品種それぞれの収穫する時期が、だいたい決まっていますので、おい
  しい時に収穫したりんごをたべることが一番おいしいことになります。
  特に、 りんごの木からとりたてのりんごを、青空の太陽の下で、まるかじりする
  味は、 一番おいしく感じます。

32.りんごの大きさはどのようになっていますか。
 →りんごの大きさは品種によってちがいます。
  一番多く見かけるりんごに「ふじ」というりんごがありますが、 大きさは1個あたり
  300~350g位です。
  「ふじ」の大きさが300~350gというのは平均的な大きさのことで、200gのものも
  あれば400gのものもあります。
  小さいりんごは値段が安いことから、大きなりんごを取る工夫を農家はしています
  が、 大きなりんごにするためには、1本のりんごの樹にならせるりんごの数を少な
  くしないと大きくなりませんので、ちょうど良い大きさのりんごを多くとることに苦労
  をしています。
  一番大きなりんごは、スタークジャンボで800~1,200gにもなるものもあります。
  農協では、その年の秋にりんご品評会(農家が良くできたりんごを持ってきて、
  りんごの出来を比べて、優秀な生産者には賞状や副賞を授与します)を開きます
  が、その時に展示されることがあります。
  普通、見かける一番大きなりんごは「世界一」で、大きさは500g位です。
  大きさを並べてみると、「陸奥」は400~600g位、 「つがる」は300~350g位、「祝 」
  は180g位、「レッドゴールド」は250g位、「紅玉」は240g位、「王林」は250~300g位
  となっています。

33.りんごには甘いりんご、すっぱいりんごがありますか。
 →「甘いりんご」「すっぱいりんご」という分け方は完全にはできません。
  たとえば、 ある人が甘いと感じたりんごであっても、別の人が食べるとあまり
  甘くないと感じるかもしれません。
  りんごはいろいろな品種のかけあわせによって出来たものですから、品種に
  よって特徴はありますが、はっきり分けることはできません。
  だいたいの分け方では「甘いりんご」には「ふじ」「北斗」「つがる」「レッドゴー
  ルド」「世界一」「王林」、「どちらかというと甘すっぱいりんご」には、「祝」「紅玉」
  「ジョナゴールド」「陸奥」がありますが、りんごの品種が本来のおいしさになる
  前に収穫したりんごはすっぱくおいしくないのに対して、ちょうど良い時期に
  収穫したりんごは、青森県で作っているりんごのすべてがおいしいです。
  ちょうど良い時期を過ぎて収穫すると日もちが悪くなったり、 収穫する前に落ち
  てしまい、 売り物になりません。
  おいしくないのに早く収穫する人がありますが、それは早く出すと値段が高い
  からですが、 収入だけを多くするために収穫をすることは、 みなさんがおいしく
  ないりんごを食べることになりますので、 農協・経済連では、その品種に適した
  時期に収穫することを生産者にお願いしています。

34. 今までで、一番大きかったりんごの直径は?
 →スタークジャンボという品種です。
  青森県りんご品評会が、平成7年12月に開かれて、そのなかでスタークジャンボ
  は1個1,480g、ふじ840g、王林が720gが、各品種の第1位でした。
  スタークジャンボの直径は、約20cmです。

35.リチャードデリシャスやスターキングデリシャスは、アメリカから輸入された品種
  だと聞きますが、どのようにして日本に輸入されたのですか。
 →1931年10月4日にミス・ビードル号という2人(パングボーン・ハーンドン)乗り
  の飛行機で、三沢市の淋代海岸からアメリカのウェナッチまで41時間13分かか
  り、飛行距離約8,000kmを飛び、世界初の太平洋無着陸横断飛行を成功しま
  した。ミス・ビードル号がアメリカのウェナッチ飛行場に胴体着陸した時に、くだも
  のかごに残っていた5個の紅玉というりんごが日本からアメリカへのおみやげと
  なりました。世界初の太平洋無着陸横断飛行を成功させるために努力した三沢
  の人々の温かい協力に感謝して、アメリカのりんご産地であるウェナッチの商工
  会議所からそのお礼として、リチャードデリシャスという新しいりんごの品種の穂
  木が黒石市の青森県りんご試験場に送られてきました。
  黒石のりんご試験場では、盛大に接木式を行い、大事にそだてたために、昭和
  10年(1935年)にはじめてりんごがみのり、その後、青森県内でもたくさん栽培
  されるようになりました。
  世界初の太平洋無着陸横断飛行の成功がなかったら、リチャードデリシャスが
  日本で作られることがなかったかもしれませんし、日本で作られたとしても、ずっ
  とあとになったことが考えられます。
  スターキングデリシャスについては、東京銀座の高級果物店の経営者斉藤義政
  さんという人が、数か月のヨーロッパ・アメリカの旅の最後の昭和3年(1928年)
  の秋に、ニューヨークで偶然見つけたりんごの品種でした。
  斉藤さんは、スターキングという品種は香りが良く、これからの品種だと考えて、
  スターキングの苗木の権利をもっているアメリカの種苗会社のスターク商会とい
  うところにいってお願いしましたが、なかなかゆずってくれませんでした。
  何回もお願いして、ようやく2本の苗木を買うことができ、昭和4年に送られて
  きた苗木を増やして、その後、青森県で多くのスターキングが栽培されました。
  リチャードデリシャス・スターキングデリシャスなどのデリシャス系品種は、昭和57
  年にふじという品種に抜かれるまで、青森県で一番多く栽培された品種でした。

【台風】
36. この前、台風がきて、たくさんのりんごが落ちてしまったことをもっとくわしく教え
  てください。
 →平成3年9月28日(土)の台風19号では青森県のりんご生産量の約50%に
  あたる約25万トンのりんごが落ちてしまいました。
  被害の受けたりんご(落ちなかったりんごでも傷がついたもの)は、38万8,000
  トンで、被害額は約742億円となりました。
  もう少しで収穫できるところだったりんごが、りんご畑いちめんに落ちてしまった
  ときには、あまりにも悲しくて涙も出ず、ただぼうぜんとしました。
  小さな木はもちろんのこと、大きなりんごの木や電柱までも強い風によってたお
  されてしまいました。
  コピーですが「台風被害と支援」をお送りしますので、写真や記事を読んでください。

37. 台風で落ちたりんごは、どうするのですか。
 →「りんごジュース」や「りんごジャム」や「しそ巻りんご」や「アップルスナック」などの
  加工品に使われています。
  一番多いのは、りんごジュースです。
  台風で落ちたりんごと一口でいいますが、落ちた時期が早かったりすると、りんご
  が甘くないので、ジュースに使うことができなく、すてることになることもあります。
  平成3年9月28日の台風19号では、50万トンのうち38万トンのりんごが落ちてしま
  いましたので、ジュースにする量が多すぎて、大きな穴をほって埋めたりしました。

38.台風の時のりんごのとれぐあいと、 今のとれぐあいを教えてください。
 →青森県のりんごの生産量は、台風19号の被害を受けた平成3年産は26万トン
  でしたが、普通の年では約50万トンの生産量があります。

【輸入・輸出】
39. 外国のりんごと日本のりんごのちがうところは?
 →日本のりんごは世界一の品質であると言われています。
  形のそろいや大きさや色のつきかたなどです。
  外国のりんごは、日本のりんごに比べて、(1)小さいこと。(2)少しのきずは付いて
  いること。(3)つるがあってもなくても関係ないこと。(日本ではつるがあることが
  必要)などです。
  外国では、安い値段のりんごを買って、1個をまるかじりすることが多く、昼の弁
  当といっしょに1個をもっていく人もあります。
  それに比べて、日本のりんごは小さかったり、傷が少しでもついているものを東
  京などの大都市の市場に出荷すると、値段が大きく下がりますので、そのような
  りんごは出荷しないことにしています。
  少しくらいの傷は良いのではないかと思われるかもしれませんが、実際にスー
  パーや八百屋さんで買ってくれませんので、特別に注文がない場合以外は出し
  ていません。
  外国と日本では、りんごに対する考え方が違うものです。

40. どこに輸出しているのですか。 また輸出量は?
 →平成11年には、台湾1,725t、香港214t、タイ198t、シンガポール97t、アメリカ43t、
  フイリピン12t、ニュージーランド 3t、その他(インドネシアなど)88tの計2,380tとなっ
  ています。

41. どこから輸入しているのですか。 また輸入量は?
 →平成4年には、韓国から69t、平成5年には韓国から37tでした。
  平成6年は、韓国から7t、ニュージーランドから235tの輸入がありました。
  平成7年には、アメリカから8,935t、 韓国170t、 ニュージーランド190tの輸入が
  ありました。
  平成10年には、ニュージーランドから112t、韓国から108tの輸入がありました。
  外国のりんごが輸入されると、 日本にないりんごの病気や害虫がりんごと一緒
  に入って、日本で大量に病気や虫が発生して被害がでることがあります。
  このようなことがないように国際法 (国と国の取り決めた法律)によって、病気
  や害虫がいる国からの輸入を制限することができます。
  ニュージーランドやアメリカには、日本にない火傷病やコドリンガという名前の
  病気や害虫がありますので、最近まで輸入が禁止されていましたが、最近に
  なって防除する方法が見つかり、防ぐことができたことから輸入されるように
  なりました。
  また、日本にあって、アメリカにない病害虫としては、「モモシンクイガ」「灰星
  病」「赤星病」などがあり、アメリカからは完全に防ぐように要求されており、
  合格したものがアメリカに輸出できることになります。

42. 何種類ぐらい輸入しているのですか。
 →アメリカからは、ふじ・ロイヤルガラの2品種。
  オーストラリア(タスマニア)から、ふじが輸入されている。
  日本とその国との取り決めによって、輸入できる品種を決めています。

43. 輸入品に負けない自信がありますか。
 →あります。
  そのためには、外国に負けないおいしいりんごをつくることと、りんごをつくる
  ための費用(経費)をできるだけ少なくして、今の値段よりも安くても、りんご
  を作っている生産者 (農家)が、収入があるようにすることに努力しています。
  おいしいりんごを多くとり、安く販売できるようにすることが負けないことに
  つながります。

【出荷】
44.りんご1箱で何個が入っていますか。
 →りんごの1箱は10kg及び5kgの2種類があります。
  りんご10kg1箱には「ふじ」の場合、平均して36~40個が入っています。
  りんごの大きさによって1箱に入る数が違いますので、32個、36個、46個など
  さまざまですが、10kgの箱は2段になっていますので分かります。
  5kgは1段となっています。
  10kg箱といっても、 その箱によっては中身の重量で11~12kg入っています。

45. 一日にどれくらいのりんごが農協に集まりますか。
 →青森県の約50万tのうち、県外に出荷されるものが33万tです。 (残りは自家用
  や親戚に送ったりジュースなどになる)33万tのうち、農協の扱い量は12万t(10
  kgのダンボールの数にすると12,000,000箱)で約40%位になっています。
  りんごの収穫時期は、品種によってちがっていて、9月や10月・11月となってい
  ます。
  よって、 11月ころには、1農協で1日当たり何万箱も集まることになります。

46. 出荷する前に、くさらない工夫などをしているのですか。
 →りんごを収穫する時は、天気の良い日にすることです。
  雨がふっている時に収穫したり、そのりんごを土の上に直接おいたりすると、
  土の中にふくまれている病気がりんごにうつってくさることがありますので、
  注意するようにしています。
  青森県のりんごは、10月から翌年の8月頃まで販売していますので、その
  途中にくさることのないように、冷蔵庫に保管しています。
  特に、3月から8月まで販売する「ふじ」については、CA(シイエイ)冷蔵といって、
  冷蔵庫の温度を1~2℃くらいとし、炭酸ガスと酸素の量を調整して、りんごが
  ねむった状態にして、貯蔵しています。

47.りんごはいつ出荷するのですか。
 →りんごの収穫する時期は、品種によって違います。
  よって、出荷する時期も品種によってちがうことになります。
  例えば、夏緑は8月上旬がりんごを収穫する時期ですし、祝は8月中旬から9月
  上旬に収穫します。つがるは9月中旬から下旬に収穫します。
  収穫時期をのべると、世界一は10月中旬、陸奥は10月下旬、ふじは11月上旬
  です。ふじという品種は、11月に収穫してから翌年の7月頃まで出荷することが
  できますので、その頃まで消費地のスーパーで売ることができます。
  11月に収穫したりんごを、農協の冷蔵庫に保管しておいて、計画的に規格別に
  分けたものをダンボールに詰めて出荷します。
  みなさんがスーパーで見て買うことができるりんごは、約7日~10日位前に青森
  県でダンボールに詰められたものと考えると良いでしょう。
  (売れないスーパーでは、もっと長い日数のものがあるかもしれませんが)

48.りんごはどの月に収穫しますか。
 →りんごの品種によって違います。
  「つがる」は9月中旬から下旬、「レッドゴールド」は10月上旬から中旬まで、「ジョ
  ナゴールト」「北斗」「紅玉」は10月中旬から下旬まで、「陸奥」「王林」は10月下旬
  から11月上旬まで、「ふじ」は11月上旬から中旬までとなっていますが、その年の
  天気や生産している場所(平野なのか、岩木山の麓なのか)によっても違ってきま
  すので、本当においしい時期に収穫することが大切です。

49.出荷の最盛期はどの時期ですか。
 →出荷の最盛期とは、別ないいかたをすれば、販売時期との見方もできます。
  品種によって販売時期はちがいますが、 だいたい次のとおりです。
  つ が る    →→→9月から11月まで
  紅   玉    →→→10月から翌年3月まで
  デリシャス系  →→→10月中旬から翌年3月まで
  ジョナゴールド →→→10月中旬から翌年7月まで
  北   斗    →→→10月下旬から翌年1月まで
  陸   奥    →→→10月下旬から翌年7月まで
  王   林    →→→11月から翌年6月まで
  ふ   じ     →→→11月から翌年8月上旬まで
  くわしく知りたい時は、 平成11年度版「青森りんご」の資料の17ページを見て
  ください。

【販売】
50. 値段が一番高いりんごは?
 →10年産りんごのkg当たりの(市場)単価では、
  東京 つがる211円、王林286円、陸奥324円、ジョナゴールド328円、
  ふじ361円などで平均340円。
  青森 つがる112円、王林129円、陸奥159円、ジョナゴールド168円、
  ふじ174円などで平均160円。
  これは、市場での価格です。
  品種別には東京の価格で高い順に、ふじ(361円)・ジョナゴールド(328円)
  ・陸奥(324円)・つがる(311円)などとなっています。
  今まででは、「世界一」の名前のりんごが、昭和46年から47年に東京の小売店
  で1個2,000円の価格で売られ、当時世界一値段が高いことで消費者を驚かせた。

51. 一番 売れるりんごは?
 →「ふじ」です。
  11月から翌年の8月まで販売していて、 青森県のりんごの生産量の50%位を
  占めています。

52. 一番 売れる月は?
 →3月が一番多く売れて、次には4月や2月です。
  7月や8月は、りんごよりも、すいかやメロンなどが売れます。
  10月や11月は、梨やぶどうが多くあることから、りんごは3月に比べて売れない
  です。
  りんごは、どちらかというと暖かいよりも寒い時のほうが売れます。
  9月の気温が高く暖かいと、水分の多い果物が買われることから、りんごの売れ
  行きは落ちます。

53. 東京と青森の値段の差はどれくらいですか。
 →10年産りんごのkg当たりの(市場)単価では、
  東京 つがる311円、ジョナゴールド328円、陸奥324円、王林286円、
  ふじ361円などで平均340円。
  青森 つがる112円、ジョナゴールド168円、陸奥159円、王林129円、
  ふじ174円などで平均160円。
  これは、市場での価格です。
  小売店で売られているりんごの価格は、青森では少し傷のあるものが売られて
  いるのに対して、東京では傷のないものや運賃などがかかりますので、東京の
  値段が高くなっています。

54. りんごを売る(運ぶ)仕事をしていて、うれしい事、たいへんな事、困ることはどん
  な事ですか。
 →うれしいことは、「青森りんご」がおいしいと言って、消費者がよろこんで食べて
  くれることです。
  生産者としてうれしいことは、おいしいことが評価されて、高い価格で売れること
  です。
  困ることは、りんごのくさったり、量が多かったりして、作るための経費よりも値段
  が下がることです。一生懸命作ったりんごが、市場や消費者に着いた段階でくさ
  ったりすることは生産者として非常に残念なことです。
  売る場合ではないものの、生産者が作っていて一番残念なことは、台風などで
  りんごが落ちてしまうことです。

55. 売れ残ったりんごはどうするのですか。
 →小売店やスーパーで売れ残ったりんごは、値段をさげて売ったりします。
  それでも残ったものは、食べておいしくなかったり、くさったりしてきますので捨て
  ることになります。

56. 一日の出荷量は?
 →青森県のりんごが県外に出荷されている量は、10年産で一番多い3月が40,000t
  位(10kg段ボールで400万箱)、次に2月が35,000t位(350万箱)ですので、3月には
  1日当たり13万箱(10tのトラックに1,000箱積むとすると130台)を出荷している計算
  になります。

57. 売る時に、気を配っていることは、どんな事ですか。
 →「おいしいりんご」「新鮮なりんご」を安定して・計画的に、消費者に食べてもらう
  ために、こころがけています。
  最近では、農薬は毒だとの考えがりんごを食べる人から言われていますが、青森
  県のりんご生産者(農家)は、国が定める農薬の使用する基準を守って、健康に
  害がないように栽培していますので安心して食べてください。 消費者に対して「安
  心して食べてもらうりんご」を作ることも大切なことです。

58.りんごの送り先はどこですか。
 →青森県のりんごは全国の半分の生産量がありますので、 全国の都道府県に出荷
  しています。
  10年産は、だいたい、関東(東京とか横浜など)に29%、近畿(大阪・神戸・京都
  など)に23 %、中部(名古屋など)に17%、九州に10%、中国地方7%、北海道
  5%、東北4%位の出荷割合となっています。

【栄養】
59. りんごを1日1個食べると、ガンになりにくいと言われているが、本当ですか。
 →ほんとうです。
  弘前大学の医学部の教授などの発表でも、りんごは繊維質を含んでいることから、
  ガンになりにくいとなっています。
  りんごを食べることによって、ガンのほかに、血圧をさげたり、胃腸にやさしく働い
  たり、ふとりすぎの予防にもなるといわれています。

60. りんごには、どんな栄養分が含まれていますか。
 →りんごには、食べ物の消化・吸収・燃焼を助けるカリウム・ペクチン・りんご酸
  ・ビタミンが、バランスよく含まれています。
  りんご100g当たりでは、エネルギー 50キロカロリー、水分85.8g、たんぱく質0.2g、
  脂質0.1g、糖質13.1g、繊維0.5g、灰分0.3g、カルシウム3mg、リン8mg、鉄0.1mg、
  ナトリウム1mg、カリウム110mg、ビタミンB10.01mg、ビタミンB20.01mg、ビタミンC
  3mg などとなっています。

61. りんごを使った食べ物で、これから作ろうとする物は、どんな物ですか。
 →過去には、加工用りんごの品種を作ったこともありましたが、基本的には「生」で
  が考えられますが、今の時点でどんなものかについては、分かりません。

【悩み・よろこび・願い】
62. りんごづくりをしていて、うれしかったことは何ですか。
 →うれしいことは、「青森りんご」がおいしいと言って、消費者がよろこんで食べて
  くれることです。
  生産者としてうれしいことは、おいしいことが評価されて、高い価格で売れること
  です。
  反対に、困ることは、りんごのくさったり、量が多かったりして、作るための経費
  よりもねだんが下がることです。 一生懸命作ったりんごが、市場や消費者に着
  いた段階でくさったりすることは生産者として非常に残念なことです。
  生産者が作っていて一番残念なことは、台風などでりんごが落ちてしまうことです。

63. りんごづくりのなやみは何ですか。
 →台風などがあった時に一番大変なことは、りんごが落ちたり、傷ついたりして、
  販売できるりんごが少ないために、りんご農家の収入がとても少なくなることです。
  冬の「せんてい」から始まって、病害虫の防除や「人工授粉」「実すぐり」など多く
  の仕事をする中で、大切に育てたりんごが、ほんの4~5時間の強い風による
  台風で、多くが落ちてしまったのが、平成3年の9月28日の台風19号の被害
  でした。
  テレビで、青森県のりんごが落ちているところを見たお父さんやお母さんがあっ
  たかと思います。 りんごを作っている農家の収入がなくなり、大切に育てていた
  りんごの木の多くがたおれているのを見たとき、一生懸命努力してきたこの1年
  の苦労を、どこにぶつけたらよいのか分からない状態になりました。
  収入が大幅に少なくなったのも大変でしたが、りんご農家の「りんご作り」をする
  気持ちがなくなることが一番心配されました。
  しかし、全国のみなさんから、「おいしいりんごを作ってください」とのたくさんの
  励ましをいただき、今、青森県のりんご農家は、平成3年の台風の時の苦労を
  バネとして、良いりんごを作るために一生懸命努力しています。

64.りんごを作ってむずかしいことは何ですか。
 →りんごの病害虫の発生と、りんごを作る人が高年齢化(お年寄りが多くなってき
  ている)していることです。
  りんごの病害虫の中で、特にやっかいなものは、腐らん病と呼ばれる病気です。
  人間でいうと「ガン」のようなもので、枝の切り口や腐ったところから病原菌がり
  んごの木の中に入っていって、りんごの木を腐らすものです。
  早く発見して治療することによって直りますが、分からないでそのままにしておく
  と、いつの間にか、木全体が死んでしまいます。
  治療の仕方は、りんごの皮をけずって、その部分に薬剤をぬったり、水をくわえ
  て団子状にこねた泥をぬって直す方法などがあります。
  しかし、そのけずり方が不足していたり、泥が乾燥したりすると病原菌が広がる
   性質があるので、やっかいな病気です。
  土を改良してりんごの木に抵抗力をつけたり、回りに病気にかかった木があると、
  そこから病原菌が飛んでくるので、地域全体で協力して病原菌をなくする努力を
  しています。
  私たちでも、食べ物の好ききらいがなく、元気に運動する人は体力があり、風邪
  の流行しているときにも、風邪にかかりにくいのと同じことです。
  それと、もうひとつ、りんごを作る人がお年寄りが多くなったということです。
  逆にいうと若い人が少ないということです。
  りんごを作るためには、病害虫を防除するための薬剤費、袋代、農機具、肥料
  などたくさんの経費がかかります。ほかに労力です。
  良いりんごを作るためには、たくさんの労力を必要としますが、その働いた分に
  見合う収入が得られないと、りんご作りよりもサラリーマンになったほうが良いと
  いうことになります。
  平成3年のような大きな台風で、りんごが落ちてしまうと農家の収入が大幅に
  少なくなって生活に困ります。
  出稼ぎをしなければならなくなります。
  おいしいりんご作りを続けていくためにも、安定した価格でりんごを販売して、
  「りんご作りをして良かった」と言えるようにしていく必要があります。

65. 願いは何ですか。
 →これからのりんご作りについては、青森県のりんごを次のようにしたいと考えて
  います。
 (1) 栽培面積は24,300ha(平成7年)から23,200ha(平成17年)を目標とし、
   1,100haの減少。
 (2) 生産量は481,300t(平成7年)から520,000t(平成17年)を目標とし、
   38,700tの増加。
 (3) 現在は「ふじ」という品種が52%占めていますが、これを減らして 「北斗」
   「ジョナゴールド」「つがる」という品種を増やしたいと考えています。
 (4) りんごを作るには多くの労力がかかりますが、機械化や労力のかからない
   方法を取り入れていきたいと考えています。
   たとえば、袋をかけない作り方とか、りんごの木を小さくした作り方などをして
   いきたいです。
 (5) 作ったりんごを計画的に出荷し、いつでもどこでもりんごを食べてもらうため
   に努力していきます。
 (6) 外国の人にもおいしいりんごを食べてもらうために、輸出していきます。
 (7) 青森りんごのおいしさを全国の人に分かってもらい、たくさん食べてもらうた
   めに宣伝をしていきたいと考えています。

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